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第4回日本老年療法学会学術集会で当社理学療法士が研究発表を行いました

2026年01月08日

2025年12月6日、7日に 第4回日本老年療法学会学術集会が一橋大学一橋講堂で開催され、当社の理学療法士、波戸 真之介、林 悠太が研究発表を行いました。

令和6年度版の科学的介護情報システムのデータを用いた軽度要介護者と中重度要介護者の重度化要因の比較

波戸 真之介

株式会社ツクイ 営業推進本部 チーフスペシャリスト
理学療法士

背景・目的

2024年度に「科学的介護情報システム(LIFE)」が更新され、評価項目の変更やフィードバック機能の拡充がされましたが、各種評価結果を解釈して支援計画等に反映するための根拠データは現状十分にあるとは言えません。そこで本研究では、LIFEにおける各評価項目について、要介護状態別にどの項目が要介護の重度化と関連するかを調査しました。

方法

対象者は当社のデイサービス利用者で要介護1~4の26,893名としました。分析としては、要介護1~2のグループ(軽度群)と要介護3~4のグループ(中重度群)に分けて、6か月間の追跡調査を行い、要介護度の重度化に関連する要因として、LIFEの必須項目(ADLの自立度、BMI、口腔(こうくう)状態、認知症の有無など)を分析しました。

結果

要介護度の重度化率は、軽度群で10.1%、中重度群で5.5%を示しました。
また、要介護度の重度化と統計学的に関連する要因として、両群共通で抽出されたのは、ADLのいすとベッド間の移乗および平地歩行の項目でした。
他方、軽度群でのみ抽出されたのは、ADLのセルフケア関連項目(トイレ動作、入浴、更衣)、BMI、レビー小体病の有無、一人で服薬ができるかであり、中重度群でのみ抽出されたのは、歯の汚れおよび歯肉の腫れ・出血の有無でした。

研究の意義

本研究はデイサービス利用者において、要介護状態別に、要介護度重度化と関連する要因を統計学的に明らかにしました。要介護度が低下しやすい人の特徴や傾向に対する理解を深めることは、効果的・効率的な評価の実施に寄与することが期待されます。


高齢者におけるADL能力と機能訓練プログラムとの関連性 – 11,665名を対象にした2年間の観察研究

林 悠太

株式会社ツクイ コーポレート推進本部 チーフスペシャリスト
理学療法士 社会福祉士 介護支援専門員 リハビリテーション学修士

背景・目的

要介護高齢者の生活を支えるうえで、「運動」による身体機能へのアプローチは非常に重要です。 一方で、運動に加えて、日常生活動作(ADL)を意識した訓練を組み合わせることで、より生活に即した支援ができるのではないかという視点もあります。

しかし、通所介護の現場で実施されているさまざまな機能訓練プログラムが、 長期的にADLの維持・改善とどのように関係しているのかについては、世界的に十分なエビデンスは出ていません。

本研究では、ツクイの通所介護サービス利用者のデータを用いて、機能訓練の内容とADLの変化との関係を整理・検証しました。

方法

2021年9月から2023年9月までの2年間に、 ツクイの通所介護サービスを利用した65歳以上・要介護高齢者11,655名を対象に分析しました。

LIFEデータベースの情報を活用し以下を追跡しました。
· ADL能力(Barthel Index)の変化
· 実施されていた機能訓練プログラムの内容

機能訓練プログラムは、実施内容の違いから以下の3つに分類しています。
1. 機能訓練なし(加算なし)
2. 運動プログラムを中心とした訓練
3. 運動プログラムにADL訓練(生活動作に即した訓練)を組み合わせたプログラム

2年間のADLの変化に基づき、 ADLが「改善・維持された方」と「低下した方」に分類し、 それぞれの訓練プログラムとの関連を統計的に検証しました。

結果

2年間追跡し、分析から次のような傾向が確認されました。

· 運動とADL訓練を組み合わせたプログラムは、 ADLの維持・改善と関連する傾向がみられ、とくに中等度〜重度のADL障害がある利用者でその関連が明確でした。
· 運動プログラムを中心とした訓練についても、 本研究ではADLの維持・改善との関連は弱かったものの、身体機能へのアプローチとして重要な役割を担っていることは確かです。

これらの結果から、「どのプログラムが良い・悪い」という単純な比較ではなく、利用者のADLレベルに応じて訓練内容を選択することが重要であることが示唆されました。

研究の意義

ADLへの支援がより必要な方に対しては、 運動に加えて、生活場面を意識した訓練を組み合わせることが、 ADLの維持・改善につながる可能性があることが示されました。

一方で、運動プログラムは、身体機能の維持・向上を目的とした重要な基盤であり、 今後も利用者の状態に応じて柔軟に位置づけていくことが求められます。